日本の医療情報 最新がん治療 BNCT
BNCTは1930年代のアメリカで考案され臨床研究が続けられたのですが、期待された結果がでませんでした。当時その研究を知った日本人医師がホウ素化化合薬物を日本に持ち帰り、本格的にBNCT研究をスタートさせました。その結果、第2世代のホウ素薬剤であるホウ素薬剤BPA(p-boronophenylalanine)が開発され、現在に繋がる本格的な臨床研究がはじまりました。
この治療のポイントは、中性子線を照射するだけではがん細胞を死滅することはできないのですが、事前にホウ素薬剤を点滴することで初めて効果を発揮することです。
ホウ素薬剤は体内で特異的にがん細胞にとりこまれ、中性子線が照射されるとがん細胞内で核反応がおこり、ホウ素からα粒子(ヘリウム)とリチウム(Li)の二つが発生します。細胞の直径は15~20㎛ですが、ヘリウムは9㎛でリチウムは4㎛と細胞よりかるかに小さいため、他の正常細胞をきずつけることなく、ホウ素を取り込んだがん細胞を内側から破壊することが可能になります。
中性子線を照射するには、以前は大型の原子炉が必要だったのですが、京都大学と住友重機械工業が共同で世界初のBNCT用の加速器中性子照射システムを開発しました。現在は日立製作所など他のメーカーも開発に成功し、高性能ながら小型の加速器中性子照射システムが登場し臨床現場に導入されています。
治療方法は、ホウ素の薬剤を点滴し2時間経ったら血液検査を行い、血液中の薬剤の濃度を測定し中性子の適切な照射量を判断します。薬剤の点滴は、照射が始まった後も継続します。中性子の照射時間はがんの場所などによって異なり、多くの場合は1時間以内ですが、30〜40分で終わる場合も90分近くかかることもあります。治療が終了後は1週間ほど入院して、経過観察や副作用の治療を行います。
現在日本では、「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん*(鼻、口、喉などにできるがん)」が保険適用されています。脳腫蕩・頭頚部がん・悪性黒色腫・肝臓がん・肺がん・中皮腫・乳がん などに対する臨床試験も実施されています。
BNCT治療が受けられる医療機関
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南東北総合病院
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江戸川病院
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湘南鎌倉総合病院
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日本の最新医療2.
再発膀胱がんに対する遺伝子治療
膀胱がんは尿をためる膀胱の粘膜に発生するがんで、高齢の男性に多く発症し、主な症状は痛みを伴わない血尿です。がんが粘膜にとどまり筋層に達していない場合は、内視鏡でのがんの切除とBCG b横行な注入療法が標準治療です。しかし、BCG膀胱内注入療法を行っても、12か月以内に再発する患者はリスク分類に応じて約8~42%と報告されています。また、十分なBCG治療をおこなっても早期に再発したり、病変が残存するBCG不応性と判断される場合には、今までは膀胱温存を目的とした治療薬は承認されておらず、根治的膀胱全摘除術が標準的な治療選択肢でした。
こうした再発やBCG再導入できない筋層非浸潤性膀胱がんに対する治療薬として、「エドスチラドリン®膀胱内注入液(ナドファラゲン フィラデノベク)」が製造販売承認されました。これは日本初の膀胱温存を目指した遺伝子治療製品です。この薬剤は、泌尿器科領域で初となる遺伝子治療製品であり、かつ非複製型アデノウイルスベクターを用いた製品です。この薬剤は、増殖をしないよう遺伝子操作したアデノウイルスをベクター(運び屋)に使って膀胱内の細胞に挿入し、細胞内でインターフェロンα2bを持続的に発現させることで、局所的に免疫反応を高める作用があります。用法・用量は3か月に1回の膀胱内投与で、持続的なインターフェロンが産生されます。
治療可能な病院
聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科学 主任教授 菊地 栄次 先生
